時の流れ
いつの間にか時は流れた。
過去の思い出を心に残して。
大切に思えた人達も、新しい出会とともに消えていった。
永遠に続くと思えていた時は、限りあるものだと気が付いて
まぶしく輝いていた情景は、モノトーンの色彩を伴って少しずつ霞がかかっている。
楽しかった時も、懸命に生きた時も、涙を流した時も、いつか記憶の隅に
でも決して忘れたりはしない。
雲が流れている。
あの頃の雲がどんな形だったか忘れたけれど、なぜか懐かしい。
眩しい光に満たされていた暑い夏、風が木枯らしとともに悲しみを連れてきた秋、銀色に輝いてワクワクさせてくれた雪の降る冬、花の香を伴って新緑の緑に新しい希望をくれた春。
いくつもの季節を繰り返し過ごしてきた。
いつもいつの時も精一杯生きてきた。
悩み悩んで涙を流した時も
満面の笑顔で笑いあった時も
振り上げたこぶしを振り下ろす場所が無く壁を血で染めた時も
全て幻になったけど、
今は楽しい思い出しか残らない。
聞こえてくる 頬をなでる風の音
心の中で
笑顔が浮かぶ